次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いと共通点
目次
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いを知ることで、使用目的に合った商品を選ぶ・購入する際の参考になると幸いです。同時に、使用時の注意点についても知っていただきたいと思います。
そもそも次亜塩素酸水、次亜塩素酸ナトリウムとは何か?
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、言葉の頭に『次亜塩素酸』が付いているため似たようなもの、あるいは、同等のものと思われる方も多いと思います。
しかし、名前こそ似ているものの、性質としては全く異なるものです。まずは、両者の基本的な情報からご紹介します。
化学式
次亜塩素酸水:HClO
次亜塩素酸ナトリウム:NaClO
製法
次亜塩素酸水:①電解法(水と塩酸を電気分解する、または、水と塩を電気分解する)
②二液法(塩酸と次亜塩素酸ナトリウムと水を混ぜる)
③緩衝法(次亜塩素酸イオン交換製法)※HASH for PROの製法です。原料は次亜塩素酸ナトリウムと水のみで、飲料水適合に合格できる唯一の製法で製造されています。※塩酸を使っていません。そのため塩分が非常に少ない。塩分が少ない=不純物が少ない。
次亜塩素酸ナトリウム: 水酸化ナトリウムに塩素ガスを吹き込んでつくった原液を希釈する
pH
次亜塩素酸水:pH2.2~6.5(強酸性~微酸性)
次亜塩素酸ナトリウム:pH12.0程度(強アルカリ性)
用途
次亜塩素酸水:除菌・消臭(食品、器具など)
次亜塩素酸ナトリウム:漂白剤、殺菌剤(キッチン用、哺乳瓶用、洗濯用)
次亜塩素酸ナトリウムが含まれているものの代表例はキッチン・ハイターです。その他、家庭用の漂白剤・殺菌剤として洗濯の際に洗剤と一緒に入れたり、哺乳瓶の殺菌にも使われています。殺菌と漂白が同時にできる点が次亜塩素酸ナトリウムの強みです。
ただし、pH12.0程度の強アルカリ性であることから、皮膚に付着すると皮膚が溶けます(ヌルヌルした感じになります)。そのため、使用時は適切に水に薄めて使うことや手袋をして触ることが大切です。
細菌やウイルスを消毒・除菌する効果や使用方法はどうちがう?
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、どちらも『塩素系殺菌剤』です。塩素系殺菌剤は、塩素化合物(HClO、ClO–、NH2Cl2、NCl3)が細菌や微生物の呼吸系酵素を阻害し、同化作用を停止させることで殺菌すると考えられています。次亜塩素酸水はHClO、次亜塩素酸ナトリウムにはClO–が塩素化合物として入っています。
両者ともさまざまな細菌類やウイルスに対して消毒・除菌することができる、という点では同じです。特に、塩素系殺菌剤はアルコール系の殺菌剤には消毒できないノンエンベロープ型のウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)を殺菌できるのが強みです。ちなみに、新型コロナウイルス感染症(ウイルス名:SARS-CoV-2)はエンベロープ型のウイルスなので、アルコール系・塩素系のどちらでも殺菌できます。
それでは、どのようなところにちがいがあるのかご紹介しましょう。
次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムより低濃度で消毒・除菌効果が期待できる
次亜塩素酸水は有効塩素濃度10~80ppmで効果を発揮するのに対し、次亜塩素酸ナトリウムは有効塩素濃度100~1000ppmが必要です。
有効塩素濃度の差は、塩素化合物の殺菌力のちがいによるものです。先程、次亜塩素酸水はHClO、次亜塩素酸ナトリウムにはClO–が塩素化合物として入っています、とご紹介しました。HClO(次亜塩素酸水)は、ClO–(次亜塩素酸ナトリウム)より殺菌力が強いのです。そのため、同じ数のウイルスを消毒・除菌する場合、HClO(次亜塩素酸水)はClO–(次亜塩素酸ナトリウム)より少ない量でウイルスを消毒・除菌することができます。
次亜塩素酸ナトリウムは人体の消毒に使うことができない
次亜塩素酸ナトリウムはpH12.0程度の強アルカリ性なので、人体の消毒には使うことができません。例えば、次亜塩素酸ナトリウム液をスプレーボトルに入れて手指にシュッと吹きかけると、手がヌルヌルとしてきます。これは、手の皮膚が溶けていることを示しています。絶対に行わないでください。
一方、次亜塩素酸水は人体の消毒に使うことができます。次亜塩素酸水はpH2.2~6.5(強酸性~微酸性)で強酸性のものもありますが、微酸性のものを人体用として使用しています。
pHは、アルカリ性、酸性を示す単位です。pH7.0辺りが中性となり、数字が少ないと酸性を示し、数字が大きくなるとアルカリ性を示します。
HASH for PROのpHは、pH6.0±0.5という弱酸性の領域です。そのため皮膚に当たっても荒れたりすることは起こりにくいです。
次亜塩素酸ナトリウムは加湿器やスプレーでの空間噴霧ができない
先程、次亜塩素酸ナトリウムはpH12.0程度の強アルカリ性なので、人体の消毒に使うことができないとご紹介しました。こちらと同じ理由で、加湿器やスプレーでの空間噴霧も禁止です。次亜塩素酸ナトリウムは直接肌に付着することだけでなく、噴霧したものが目や鼻の粘膜に付着したり、口や鼻から吸い込むことも危険だからです。したがって次亜塩素酸ナトリウムの噴霧はかなり危険となります。次亜塩素酸ナトリウムは、ハイターやブリーチなどの漂白剤の一種です。
未だに幼稚園や保育園では希釈して赤ちゃんのおもちゃの消毒に使用しているところが多々あります(特に公立)手だけでなく、製品や衣服もボロボロになるので、現場の方は苦しんでおられます。緩衝法次亜水(弱酸性次亜塩素酸水)と次亜塩素酸ナトリウムは全く別物です。名前が似ているので間違われやすいですが、何度も言いますが、別物です。気をつけてください。
一方、次亜塩素酸水は製法によりますが専用の噴霧器で空間除菌が可能です。超音波式の加湿器を使用しなければならない等の条件はありますが、安心して空間噴霧することができます。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの共通点
ここまでは次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムのちがいについてお伝えしてきました。今度は両者の共通点についてご紹介します。
金属腐食性がある
金属腐食性とは、簡単に言うと金属に錆びを生じさせるということです。商品によってはステンレス製品であれば使用可能という場合もありますが、基本的に金属には使用できません。
さて、次亜塩素酸水の製法として、①電解法 ②二液法 ③緩衝法 の3つをご紹介しました。原料を見てみると、①と②には塩酸が使われています。しかし、③緩衝法でつくる当社製品HASH for PROは塩酸を使用していません。塩酸不使用のため①②でつくられた次亜塩素酸水より塩分が非常に少なく、金属への腐食作用が軽微なことがHASH for PROの特徴の一つです。
金属への腐食作用が軽微であるということは、ドアノブやシンクなど金属製品の除菌にも安心してお使いいただけます。
酸性のものと混ぜると危険
次亜塩素酸ナトリウムを含む商品容器に『混ぜるな危険』と大きく書かれているのを目にしたことがある方は多いと思います。実は、次亜塩素酸水も酸性のものと混ぜると危険なのです。
危険な理由は、酸性のものと混ぜると「塩素ガス」が発生するからです。塩素ガスは目への刺激・咳・窒息感の他、最悪の場合は死に至ります。空になった容器に酸性の液体を補充しようと思ったら塩素系の液体を間違って補充してしまった、先に塩素系の溶液が散布してあったことを知らずに上から酸性の溶液を散布してしまった、などうっかりミスが事故の原因です。十分に気を付けて欲しいと思います。
食品添加物(殺菌剤)として認められている
次亜塩素酸水は2002年3月に、次亜塩素酸ナトリウムは1950年4月に食品添加物として国に認められています。食品添加物=安全、ではありません。あくまでも、使用濃度や使用方法などをきちんと守って使用すれば効果が認められ、人体にも影響がないということを保証するものです。間違った使い方をすれば、殺菌効果がなくなる可能性どころか命に関わる危険もあります。使用方法をきちんと読み正しく使いましょう。
まとめ
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、pHや含まれる塩素化合物のちがいから、使用濃度や手指の消毒の可否・加湿器での空間噴霧の可否が異なります。
しかし、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、両者とも優れた殺菌効果を持つということに変わりはありません。どのような方法で殺菌をしたいのか、何を殺菌したいのかを見極め、使用目的に合ったほうを選んで正しく使いましょう。
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